保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。


嘘でしょ。

いや、だから私は早く教室から出ようって……思っていたのに。

「えっ、ちょっとそういうこと?!」

雪ちゃんがドアの前に立つ人物と私を交互に見て何やら騒ぎ出す。

あーあーあー。
これまためんどくさいことになってしまったよ。

教室に残っていたクラスメイトたちも、学年一人気者の顔を見て何事だとこちらに視線を向けている。

はぁ……一番避けたかったことが起きてしまった。

「あ、郁田さん!」

私を見つけて安定の仮面の微笑みを向けてこちらにひらひらと手を振る夏目涼々。

ほんと……心底苦手だ。

彼の本性を知っている身からしたら、背筋がゾッとするほどの胡散臭い笑顔。

「ねぇねぇねぇ、もしかして夏目くんと放課後デートの予定だったの?!なんで言ってくれないのよ!」

「いやそんな予定ないからっ」

楽しそうに私の腕をツンツンしてくる光莉にはっきりと答える。

もう……これじゃあ逃げられるものも逃げられないじゃん。

みんなに見られてる中、夏目くんに悪態をついて逃げるとかそんな目立つこと絶対に出来ないもん。