「よし、じゃ、起立ーー」
帰りのホームルームが終わる直前。
担任の先生の声でみんながガタガタと席を立って。
「礼ーー」
「「さようなら〜」」
クラスメイトの挨拶の声が響いてから、すぐに教室が一気にざわざわとした。
一目散に教室を出る人、まだ何やら残って作業している人、グループでおしゃべりしている人。
よし、私も早く帰らなきゃ。
「あ、菜花〜〜!」
「へっ……」
バッグを肩にかけてすぐに教室を飛び出そうとした瞬間、光莉の声に足を止めて振り返った。
なんだ、こんな時に。
私はあの人から逃げたくて早く帰りたいって言うのに。
「今日これから時間ある?久しぶりにプリ撮りに行こうよ」
「え、プ、プリ?」
「そう。今年初のプール記念にさ!」
と雪ちゃん。
いや何それ。
プール記念て。
「えっと……」
「それとも菜花、これから予定ある?」
「へ、いや、その────」
なんで今日に限って!と思わず叫びたくなったのを堪えた時だった。
「郁田 菜花さん、いる?」
大嫌いな声が。
ドアの方から聞こえた気がした。



