「もう大丈夫だよ。昨日は助けてくれてありがとう。じゃあ──」
「あのさ、郁田さん」
『じゃあね』そう言って振り返ろうとしたのに、引き留められてしまった。
なんなんだ、なんなんだ。
光莉も雪ちゃんたちも目の前の夏目くんにうっとりして動かないしっ!!
「……な、なんです、か?」
渋々そう聞けば、目の前の爽やかイケメンの顔がパァと明るくなった。
胡散臭い……。
よくもまぁみんな騙されるよ。
いや、一昨日まで、私も騙されてた一人なんだけど。
「良かったら、これからも仲良くしてくれると嬉しいな。郁田さんも、郁田さんのお友達も」
は、
は?
「……えっ、と……」
ガシッ
っ?!
突然、私の両腕をギュッとそれぞれ掴んだ光莉と雪ちゃんが口を開いた。
「しますします!仲良くします!ね!菜花っ!」
「夏目くんの方からそんなこと言ってくれるなんて!」
「いや、えっと……」
こんなふたりの前で「するわけないでしょうが」なんて言えるわけもなく。
やりとりを見てる夏目くんは嬉しそうにニコニコと笑っていて満足そう。
ぐぅ……この野郎……。
「……ま、まぁ、はい、」
私はそう、返事をするしかなかった。



