「そりゃ、違うクラスのやつが他のクラスのノート持ってきたらみんな不審がるからね」
「……まぁ、」
「郁田さんが体調悪そうだったから保健室に行くように言って代わりにノートを持ってきたってクラスの人に伝えたよ」
「なるほど……」
きっとその話を光莉はクラスの子から聞いたんだよね。放送委員の光莉はまだその場にいなかっただろうし。
あぁ、光莉のメッセージの様子からしてもわかる。
これじゃ、ますます夏目くんの株があがっちゃうじゃん。
爽やかイケメンの夏目くんが、人助け、なんて。
本当は……あんなこと平気で言ったりする人なのに。
かと思えば、触れる触れない関係なしにこうやって助けてくれるし。
夏目くんのこと、よくわかんない。
「授業中の教室に入るのなんて気が引けるでしょ」
「5時間目終わるまではゆっくりしてれば」なんて言いながらさらに焼きそばパンを口に運んだ夏目くん。
そりゃ……教室に帰って注目されるのはちょっと苦手だけど。



