「戻るって……もう授業はじまってるよ?」
「へっ……」
夏目くんの声に足が止まる。
「それに郁田さんお昼まだでしょ。体調良くなったなら少しでもご飯食べたほうがよくない?」
「えっと……」
なんで……?
なんで、夏目くんにお昼の心配までされなくちゃいけないの?
さっき会ったばかりの赤の他人なのに。
「郁田さんってお昼弁当?」
「え、いや、今日は体調悪かったから作れなくて」
「ならよかった。はい」
「……え、」
そう言って夏目くんがこちらに見せてきたのは白のビニール袋。
これって……。
「焼きそばパン、カレーパン、メロンパン、クロワッサン、色々あるよ?どれがいい」
「なんで……」
「なんでって、一緒に食べようかと思って」
いやいやいや!
そんな当たり前みたいに言われても!



