「夏目くんがキスしてくれない?!」

「う、うん……」

こんなこと自分の口から言う日が来るなんて。

「なんでまた……というかごめん、菜花の口からそんなワードが飛び出してくるとは思わず、ごめん、めちゃくちゃにやけそう」

「ちょっと光莉……」

こっちは大真面目に、勇気出して話したっていうのに!!

「ごめんごめん!けどあの……そうか。え、全然してくれないの?まったく?」

「いや、まったくではないけど、その軽いのは……」

「深いのがしたいのか、菜花は」

「光莉……」

そんな言い方、まるで私が欲求不満みたいじゃないか。

いや、そうなのかもしれないけど。

うぅ……付き合うようになって距離が縮まって。無意識に欲張りになってるのかな、私。

「ジョーダンじゃん!けど、そっかー」

付き合った最初の週はそれこそ手を繋いでくれて、キスをしてくれた。

だけど、それから……。

何回か夏目くんの家に遊びに行ったけど、そういう雰囲気にならなくて。

デートの時だってそう。

夏目くんと付き合う前、それこそ触れ合っていた時間があったからこそ、

夏目くんがこのタイミングでそれ以上何もしてこないっていうのがどんどん増えて。