「わ、私が夏目くんに、あげたくてっ」

「っ、郁田さんが、俺のために選んだって事?」

恥ずかしくてうなずくので精一杯だ。

「うわ、まじか」

小さく声を漏らした夏目くんが「開けていい?」と控えめに尋ねるのでふたたび首を縦に振ると、

夏目くんが目をキラキラとさせながら袋を開けた。

「わ、ハンカチ!猫の柄だ、かわいい」

そう言って満々の笑みでハンカチを見せてくる夏目くんの方がうんと可愛いくてかなわない。

「……夏目くんに、似合うと思いまして」

「やばい……今の郁田さんすっごい可愛いんだけど、自覚ある?」

「え」

唐突の褒め言葉に、また大きく胸が鳴って。

「……抱きしめても、いいですか」

今までに簡単に私に触れてきた夏目くんが。
なんだか苦しそにそういうから変な感じ。

余裕がないと言いたげな。
目だって晒したまま。

今まで意地悪されてきたばっかだから。
猛烈に、からかってしまいたくなる。

「夏目くん、こっち見て言ってよ」

「は、なんで。無理」

「なにそれ……」

「だって、嬉しすぎて。これだってすごい我慢してる方なの俺。今、郁田さんのこと直視したら、マジで襲っちゃうよ」

「……」