「どーしよ。このまま寝ちゃいそう。郁田さんといるとなんかすごい安心する」

「えっ?!いや、その、寝られるのはちょっと、困る……けど……」

反射的にそう言ってしまったけど、天井先輩から話を聞いた後だから、

夏目くんに無理させちゃダメだと思って戸惑う。

大切な人を心配して生きた心地がしなかっただろうし。

身も心もクタクタだよね……。

「ふっ、月子から聞いた?」

あまり踏み込んで聞けない私を察してか、夏目くんがこちらの顔を覗き込んで吹き出した。

そうやって笑う瞬間があまりにもキラキラして見えて。

夏目くんにときめいてる自分を実感して、ふたたび身体が熱くなる。

夏目くんが天井先輩を親しげに呼ぶことに、昨日までならモヤモヤしていただろうけど。

今は違う。

私の前で、夏目くんがありのままである証拠なんだと思って嬉しいって気持ちにさえなって。

「……うん。たくさん聞いた。夏目くんと天井先輩の関係性もゆりえさんのことも」

「そっか」

そう言いながらまたコツンと私の肩に頭を預ける夏目くん。

そこから伝わる夏目くんの体温にさらに心拍数が上がっていると。

「修学旅行が終わった日……」

夏目くんがゆっくりと口を開いて穏やかなトーンで話し始めた。