「とにかく、今の涼々は、ここ数日菜花ちゃん不足で死にそうってことよ」

「えっ?!な、なんですか急に!今の話の流れからして絶対おかしい……」

そう言いながら顔が見る見るうちに真っ赤になっていくんだから、可愛くてしょうがない。

涼々がちょっとからかっていじめたくなる気持ち、わからなくもないかも。

「だからさ、話ぐらい聞きてあげてよ。菜花ちゃんだって、つい感情的になって無視しちゃったってだけよね?本当はちゃんと話したいって思ってるでしょ?」

そう言えば菜花ちゃんが俯いたままコクンとうなずいた。

可愛い。
乙女心ってやつなのよね、わかるよ。

「よし、じゃあ決まり!私帰るね!」

「えっ、帰っちゃうんですか?!」

財布を鞄から取り出しながら立ち上がれば、菜花ちゃんが目を開いて慌てだす。

「私から言えることはこれが最後。スマホ見てごらん」

「え、あっ、ちょ、」

戸惑う彼女に背を向けてレジに向かって。
ふたり分の代金を支払ってから。

私はお店を後にした。