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「……あっ、郁さ───」
「えーーそれちょっとひどくない?」
「……」
夏目くんと天井先輩の噂が流れ始めて1週間。
私は、夏目くんと関わる前の日常を取り戻しつつ、ある。
って言うのはどう見ても嘘で。
「ねぇ、菜花。さっきのはあからさますぎでしょ。かわいそうだよ夏目くん」
お昼休み、みんなと席をくっつけてお弁当を広げていたら、
光莉が突然そう言った。
何を言っているんだ。
可哀想なのはこっちだよ。
「いいよもう。そんなことより考えることがたくさんあるじゃん。テスト、とか」
そう。私はあれから夏目くんのことを完全に無視している。
わざとらしいのは重々承知だ。
彼が私を見つけて何度も話しかけようとしてきてるのはわかっているけれど。
嫌いになるって、決めたから。
もう、距離を置くって。
「テストって……そんなんで本当に集中できんの?」
「そーだよ。ジャージぐらい直接返してあげればよかったのに」
と雪ちゃんまでも言うんだから。
夏目くんに返すつもりで紙袋に入れて学校に持ってきていたジャージは、
先週、長山くんに頼んで代わりに渡してもらったから、私と夏目くんが関わることはもう本当にない。



