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『本当にごめん。今見た。ちゃんと説明したいから、会って話せないかな?』
人通りの少ない階段の踊り場でスマホを開くと一件の通知が来ていた。
メッセージの横に記された時刻を見るに、それが送られたのは私が登校途中の時間。
学校に着いた途端、夏目くんたちの噂を聞いたもんだから、
とにかく聞きたくなかった私は、急いで教室に逃げようって必死で。
メッセージが送られてることに全然気が付かなかった。
あんな風に無視してしまって、悪いことをしたかもと少し反省しつつ、
夏目くんが私からのメッセージをちゃんと確認して返事してくれたことにホッとしたのも束の間。
『ちゃんと説明』って。
そんなもの、もう言われなくてもわかるっつーの。
もし夏目くんに会って、天井先輩と正式に付き合うことになった、なんて聞かされたら、その瞬間、振られたのと同じで。
夏目くんに面と向かって、私じゃないあの人を選んだ、なんて言われて私は平気でいられるんだろうか。
振られるってわかってるからこその、最後の意地。
変なの……。夏目くんと出会うまでは、なんともなかったのに。
彼との時間がこれからなくなってしまうなんて考えられなくて。
大嫌いだったはずなのに。
ううん。
夏目くんがその気なら、こっちからおしまいにしてやる。
また、嫌いになればいいんだ。



