ポツリポツリと人がいなくなっていく化学室。

完全に、声をかけるタイミングを失ってしまった。

残っている他の女の子たちは自分たちのグループで固まってるし。

普段、一緒じゃないグループの中に自分から入っていくなんてすごく苦手だ。

こんな時に限って、唯一気兼ねなく話せる男子である泉くんも、購買の人気焼きそばパンをゲットする闘いのためにいつものように誰よりも先に出て行ったし。

ひとりで行くしかないか。

化学準備室は、化学室のすぐ隣だけれど、クラス全員のノートを持って教室まで持っていくなんて、

元気な時だってめんどくさいことなのに……。
こんな日に限って……。

とほほ。

落ち込んでても仕方がないので、重い足取りで準備室に向かえば、

「おー、頼んだぞー」なんて軽快な声とともに、すぐにクラス分のノートを先生に渡された。

先生がノートを初めから忘れずに持ってくれば、私がわざわざこんなことしなくて済んだのに。

完全に二度手間だ。