お手洗いから出て、すぐに夏目くんと目が合って。
少しくすぐったい気持ちになりながら彼のもとへと戻る。
「あの、助かりました……」
「ん。やっぱりよく似合ってる」
「……どうも、」
「ね、見て郁田さん」
ちょっと恥ずかしくて俯いていたら、いきなりそう言われたので、言われたとおり顔をあげれば。
───カシャ
え?
こちらにスマホを向けた夏目くんの姿があった。
「え、何してるの。撮ったの?!」
「まぁ」
「まぁって!盗撮じゃん!消してよ!」
絶対今、間抜けな顔していたし!!
まったく何考えてるの!!
「郁田さんが俺のジャージ着てて俺が買った服着てるんだよ。写真に収めないでどうするの」
「何言ってんの……」
「俺に飼い慣らされてる子犬みたい」
「……」
こいつ……。
無言で夏目くんを睨みつければ「冗談冗談」と笑いながらスマホ画面を見せてきた。
それは、夏目くんと長山くんのメッセージのトークで。
「長山たちが心配してるんだよ。だから、無事だって報告するために」
「あっ……」
そっか。
たしかに、光莉たちにも何も言わないできちゃったから心配してるかもだよね。
だからって、私の写真が必要かどうか考えたら疑問だけれど。



