「……」

「……」

ふたりでゆっくりと庭園を歩く。

どうしよう。
久しぶりだからなにを話していいかわからない。

やっぱり泉くんの様子が前と明らかに違うのがわかるし。

たしか、最後に会ったのは動物園で……。

沈黙も苦手だから、何か話題をと思ってぐるぐる考えて。

あることを思い出す。

「あ、そういえばっ、夏休み初日の動物園」

「……えっ、あ、あぁ、」

ぶつかった視線がまたすぐそらされる。

「解散した後、連絡くれてありがとう。あの日雨ほんと凄かったよね」

「……あー無事帰れててよかった。あの日俺すげーお気に入りの靴でさ……」

「えっ、そうだったんだ?大丈夫だった?」

「……あ、いや、まぁ、……てか、」

「ん?」

泉くんが手で口元を隠すように話したのでよく聞こえなくて聞き返す。

明らかにおかしい。泉くん。

いつもはもっと余裕そうというか。
サラッと会話してくれるタイプだったのに。

私、何か彼に嫌われるようなことしたとか?

不安になりながら泉くんの言葉の続きを待つ。