フワッと優しい香りが鼻をかすめたと同時に肩に暖かさが触れて。
聞き覚えのある声が鼓膜に届いた。
「夏目くんっ、」
まっすぐと男の子たちを見る整った横顔に、トクンと胸が鳴る。
最近、夏目くんを見ると、心臓がうるさいのは気のせいだと自分に言い聞かせて、
隣の人物を見上げる。
この角度から見て綺麗なんて、ほんと悔しいけど羨ましい。
けど、そんな彼の目はいつもの爽やか仮面の時とは違って若干鋭く見えた。
人前でそんな顔するんだ……。
私の手首を掴んだひとりがパッと手を離す。
「はっ、んだよ彼氏持ちかー」
「行こうぜー」
「せっかく久しぶりに可愛い子見つけたと思ったのになー」
男の子たちは夏目くんのことを見るなりそそくさとその場を後にした。
「なんでいるの……」
彼らの背中が見えなくなって呟くように聞く。
「なんでって、郁田さんのこと探すのが癖になってるから?」
「ストーカーじゃん」
「そーとも言う」
そーとも言うって……認めてどうすんのよ。
犯罪なんだからね。
この人の顔面にかかれば、ストーカーも許されるってか。



