「バカじゃないの。全然違うか───っ、!!」
『違うから』
そう言おうとしたのに、夏目くんがいきなり顔をグッと寄せてきた。
この人、毎度毎度、心臓に悪すぎる。
「……そうだよ。いいように考えちゃう。バカだから」
鼻と鼻が触れそうな距離に息が止まる。
「ね?」
そう言って顔を離したかと思えば、ポンッと私の頭を撫でてから、再び歩き出した。
な、なんなのよ、もう〜〜!!
『俺バカだから』って。
そりゃ、売り言葉に買い言葉で『バカ』って言ったけど、
常に成績トップの夏目くん自ら『バカだから』って。嫌味にしか聞こえないっつーの。
なんて。
うるさい心臓の音に気づかないフリをして、慌てて夏目くんの背中を追いかけて隣を再び歩いた。



