「郁田さ──」
「あーも、なにっ!ママが付けてけってうるさくてっ、だからっ」
「……そんな顔真っ赤にして言わなくても」
「っ、」
消えたい。
帰りたい。
いつもと違うことをしてしまった、よりによって夏目くんと会う日に。
面と向かってそのことに反応されて初めて、どう思われるか怖くて。
夏目くんにどう思われようがどうでもいいはずなのに。
「爪も、可愛くしてんじゃん」
スッと私の左手を優しく取って爪を撫でる夏目くん。
その仕草ひとつひとつがいちいちいやらしくてムカつく。
そんな気持ちとは反対に、ドキドキうるさい心臓にもっとムカついて。
なにこれ……。
「良かった、休みの日で」
「何が」
「だって他の男に見られたくないじゃん。郁田さんがこんな可愛くおめかししてるところ」
「おめかしって……いや本当に、ママがくれたから、つけないのも悪いと思って」
「うん。ちゃんとわかってるよ、俺のためなんでしょ?」
ほんと話が通じない人だ。



