「夏目くん、手紙ちゃんと書けた?」
「……んぁー」
なにその変な声。
「書けてないの?」
「……書いた、けど」
「けど?」
横で俯き加減になる夏目くんの顔を覗く。
「瑠々に伝わるかどうか。逆に傷つけたらどうしようって。そんなことしたら俺、あの家から本格的に追い出されちゃうじゃん?」
「……怖い?」
「……なに。俺にカッコ悪いこと言わせる選手権でも始めたの郁田さん」
「なにそれ。普段からカッコいいこと言ってるわけでもないのに。それに、怖いって思うのはカッコ悪いことじゃないでしょ」
「……えっ?」
急に夏目くんが足を止めたので私も同じように立ち止まる。
「だから……傷つけちゃったらどうしようって不安になっちゃうのは、相手のこと大切にしてる証拠でしょ?どうでもいい人にはそんな気持ち生まれないもん」
「……ははっ。ずるいなぁ、郁田さんは」
「へっ……」
ヘラッと力なく笑った夏目くんなんて初めて見たから、戸惑ってしまう。



