「……夏目くん?ごめん。変なこと聞いて」

「ううん」

彼女の声に意識が戻される。

そっか。俺、頑張ったんだ。
俺も、俺の身体も。

「夏目くんのこの背中は、かっこいいよ」

「えっ、」

郁田さんはたった一言で、今まで抱いていた考え方を、180度変えようとしてくる。


「ふはっ、かっこいいって……そんな風に言ったの郁田さんがはじめてっ、ハハッ」

「……」

『気にしないで、大人になったらきっと今よりも良くなるから』

俺のこの傷を知ってる人たちは、みんな、口を揃えてそう言っていたものを。

郁田さんは『かっこいい』と言った。

ピーピーピー

「あ、洗濯終わった!!」

部屋の外から機械音がして郁田さんがそう身体をドアの方へ向けた瞬間。

彼女の手首を捕まえた。