「……体育の授業に出ないのは、これが原因?」

「……うん、まぁ。もう子供の頃の、ずっと昔の話だし、傷だって当時に比べて良くなってるはずなのに、人に見られるのが完全にまだトラウマで」

かっこ悪い、自分でも良くわかっているから、癖のように笑顔で話すけれど、

どうも引きつってうまく笑えなくて、また郁田さんから目を晒す。

今でも鮮明に覚えている。
匂い、空気、声。
小学4年。

体育の授業の前。

教室で着替えようと、服を脱いだ時。

『うわ!お前、なんだよそれ!』
『みろ!こいつの背中!』
『エイリアンみてぇ!』
『気持ち悪〜〜』

周りの目がすごく怖かった。

異様なもの見るような目で。

俺は、なにも悪いことをしていないのに、なんでこんな思いをしなきゃいけないんだって。

悔しさと怖さでいっぱいで。

子供なんて良くも悪くも正直で悪気なんて全くないことだってある。

興味本位。

好奇心。

今になってわかってるつもりだけれど。

それでも、あの頃を思い出してなかなか前に進めない。

フラッシュバックしてしまうんだ。