「だって郁田さん、中学の時、二股してたんでしょ?」

「……はぁ〜〜?!」

「優木先生!すみません、資料渡すの忘れてました!」

夏目くんの衝撃的な言葉にとっさに大きな声を出した瞬間、保健室の向こうから何やら話し声がした。

もしかして、先生帰ってきた?!

よし、今こそ先生に言いつけてやるんだ!

何が、『他の人たちが郁田さんの言うこと信じるとは思えない』よ。

今に知らしめてやる!

「え、ちょ、郁田さん何して……」

かぶっていた布団をはいでベッドから降りようとすると、夏目くんが私の手首を掴まえてきた。

……熱いな、夏目くんの手。

「何って、夏目くんのこと言いつけに」

「言いつけって……」

「だって夏目くんが悪いんでしょ?そもそも保健室はそういうコトするところじゃないし、何かの見過ぎだよ!」

「シッ!こんなとこ見られたら郁田さんも叱られちゃうよ」

夏目くんへ抱いていた不信感が爆発してしまったのか声が大きくなってしまい、夏目くんが慌てて、外にいる先生のことを気にしながらそう言った。

いやいやなんで私も叱られるのさ!