「俺が無理言って相手してもらってるって感じだから……」

なんだそれ。
これまた、夏目くんの本性の次に驚き。

女の子には苦労してないはずの夏目くんが、無理を言ってまでその相手をしてもらってるって。

そんなもの、いつも学校で夏目くんのこと追いかけて慕ってる女の子たちに頼めばきっとすぐに聞いてくれそうなのに。

なんでわざわざ……。

「今もその人とここで会うはずだったんだ。でも急に来れなくなって。さっきメッセージ見るまではてっきりもうここに来てるものだと思ってたから、郁田さんをその人だと勘違いしてて。びっくりした」

「なるほど……」

「だから今回は緊急事態なんだよ。郁田さんならそういうのに理解ある子かと思ったけど、そうじゃないならいいや。言いふらしたきゃ言いふらせばいいよ。他の人たちが郁田さんの言うこと信じるとは思えないし」

「いやいや、ちょっと待って!なんで理解あると思ったの?ってかみんなが私のこと信じるとは思えないってどういうこと!」

ベッドを降りようとした夏目くんを慌てて引き止める。

いい人だと勝手に思ってた自分が恥ずかしい。