孝明に会えると思うことが大翔の胸を明るくした。

孝明は絶対に大翔を救ってくれる。

今の大翔の暗い心に光を与えてくれる。
 

『いいか、大翔。』

孝明は、大翔が小さいころ、そう言って何かを教えてくれた。

大翔が繰り返して確認をすると、
 
『そうだ大翔。よくわかったな。』

と笑顔で頭を撫でてくれた。

大翔は怖いくらいはっきりと覚えている。

孝明の声も、手のぬくもりも。
 

そして、孝明が大翔に会いに来なかったことは、離婚した時の約束だと知って大翔は救われていた。