「だから産むなって言ったんだ。」

と茂樹は目を逸らした。
 
「ひどいことを言うのね。今あの子見て、よくそんな事言えるわ。」

みどりは込み上げる怒りで体が震えだす。
 
「傷付けるだけだろう。あの子は生まれたことを悔やむよ。そんな思いをさせる為に産んだの。」

みどりの目から涙が溢れる。
 
「でも今、大翔は生きているのに。」

涙を流し、声を震わせるみどりに、
 
「俺が産むなって言った時、みどりは俺に迷惑かけないって言ったよね。」

茂樹は冷たく言い放つ。

みどりの心に冷たい風が吹く。