走り去る大翔を見つめて
 
「どうしよう。」とみどりは呟く。

駅の連絡通路。

混み合う人を避けて立ち尽くす二人。
 


「あの子が?」茂樹がぽつりと言う。

みどりは蒼ざめたまま頷いて
 
「大翔。あの時の子。」

と絞り出すように答える。
 
「何も知らないの?」

茂樹の無神経な言葉にみどりは驚いて目を見開く。
 
「当たり前でしょう。」と答えると