「ありがとう。でも哲ちゃんちでお世話になっているから。大丈夫だよ。それに俺が近くにいないと、祖父ちゃん達やハルが寂しがるから。」

大翔は父の言葉が嬉しかった。
 
「10年くらい経つと、お母さんのことも許せるよ。」

と孝明は言う。
 
「お父さんもそうだったの?」

大翔は孝明を見つめる。
 
「うん。もうどうでもいいと思っていた矢先に今回のこと聞いたから。これを許すまでまた10年くらいかかるかな。」

と孝明は苦笑した。
 
「でも、お母さんがパパと大翔君を出会わせてくれたわけだから。手段は間違っていたとしても、大翔君の命を守ったお母さんに、私は感謝するな。」

麻美の言葉に、孝明と大翔は驚いて顔を見合わせる。