「大翔達と別れた時は、正直、相当辛かったよ。でもさ、生きているって辛い事ばかりじゃないから。」

孝明は大翔を真っ直ぐに見て言う。
 
「パパね、すごく優しい人だから。前向きに生活していれば、幸運の方から寄ってくるんだよ。」

と麻美が言うと、
 
「それって麻美さんのこと?」

と大翔は笑った。
 

孝明は大翔の笑顔に安心していた。

今日、麻美に会わせたことは、正しかった。

麻美は必ず大翔に、生きるヒントを与えてくれると思っていた。

そして大翔なら、そのヒントをわかってくれると信じていた。