「ははは」
『いやなぜ笑う。』
「里香さん、面白い人だなって思ったんです。」
『私は君のことを本当に頑固な人間だなって思ったよ。』
こちらも敬語にすればいいのか?そうだな?そうすれば対等だな?相手が合わせてくれないのなら相手に合わせればいいんだな?
私はみんなと仲良くなりたい、と思ってるほど博愛主義者のつもりは無いけれどお互い敬語だったらなんか距離を感じるじゃないか。
再び、腹でも捻れるのでは?と言うくらいに笑いを強めた彼はこちらを見てふわり、と花のように笑った。おかしな人。笑い転げていた人がする表情とはとても思えない儚さだ。
ほんとに美青年だ。
「基本的に敬語なのであまり使わないんですけど。ならタメ口、失礼しますね。」
『……、』
「里香さん?」
その笑顔に目が奪われたのは、秘密だ。
『うん、なら私もタメ口で。名前もさん付けなんてしないで好きなように呼んでくれればいいよ。』
列が随分と前へ進んだ。7番の選手がこちら側に来てバトンパス、8番の選手が走り出す。
私たちは今、2列で並んでいる。望は私の前だろうか。前と言っても奇数偶数で分かれているから正確には16番になるのだけれど。
「いえ、好きにって言うなら里香さんって呼びたいな。」
『そ、なら別にいいけど。』


