希望さんに注意を促されてから、5日ほどたった。体育祭はあと15日くらいだと今日のホームルームで先生が言っていた気がする。


もしもこのまま何も状況が動かなかったら、多分奴らは当日に来るのだろう。分からないけれど、ただの勘。


まぁ、だからといって、今敵が襲ってきたら体育祭に来ない、とは言えないのだけれど。ただひとつ言えることは平和に終わるといいなってこと。それだけ。


「フンフンフーン!」

『なんの歌?』


とても上機嫌で鼻歌を歌っている千歩。だけれどその歌は聞いたことがない。好きか嫌いかと言われれば微妙だと言いたくなるようなメロディーだけど、どこか中毒性のある独特なメロディー。


「ん?ええとね、犬の工事現場……イヌオくんが出てる漫画ね!あれのアニメの主題歌。」


『なんだお前もイヌオ厨かよ……。ふーん。……えっ、アニメ!?』


「うん!アニメ化もしてるんだよー。」


千歩はなんの気もなしに言った。マジかよ、アニメ化してたのか……。そんなに人気作品なの?その漫画。笑ってしまうんだけど。


「あ、集合だって。」


『うん、行こうか。』


真ん中あたりで結んだポニーテールが揺れる。頭がそれに引っ張られた感じがした。