出されたものは紅茶。白い綺麗なティーカップを持ち上げて透明な茶色の液体を飲み込む。温かく、ほのかに香るイチゴの匂い。


……ストロベリーティー。


「里香ちゃん、いいかしら。」


『はい。』



そう言ってガサガサと書類を取り出しているところを眺める。心臓がバクバクしている。

私がここに通っている理由の一つに、情報が欲しいからというのがある。当たり前の話、だけれど。


【あの人】のことと、それから呪い殺したくなるほどに恨んだ男のこと。



どちらのこと、なのだろう。他のことはあるのだろうか。


どくどく、と心臓が脈を打つ。緊張のせいだろう、血の気が引いていく感じがする。手先が冷たい。



「……里香ちゃん、アイツが復活した、って噂が繁華街で流れているらしいの。」



頭をガツンと殴られた気がした。覚悟はしていたのに。もう動き出すのか、と。


「そして、アイツの手下の暴走族がアイツの指揮の元、神龍に攻撃するかもしれない。」


『それは……近くの話ですか?』


話がついていけない。現実味がない。頭の上で会話しているようだ。吐き気がする。嘘でしょ?アイツがもう復活した?


そんな……そんなことなんて。



希望さんも少し青ざめた顔をしている。そっと、頭を振る。