「あるよん。」


体を曲げ伸ばし、準備運動をしていた永富が答えてくれる。

「僕もね〜それなりにね〜役職があるわけじゃん?だから緊張しちゃう。幹部が準幹部に負ける訳にはいかないでしょ??もし負けたらと思うと怖〜い!」

キャッとでもいうように頬に両手を当ておどけて見せる永富。

『永富は初参加じゃないの?』

「初参加だよ〜。競技自体にも、役職持ちとしてこの類のイベントで競うのも。りかちん〜!いざという時は守って〜!」

『それでいいのか幹部……。威厳はどこに行ったのよ……。というか私参加しないんだけど……』

立ちながら準備運動をする永富と座っている私たち。そう、座っているのだ。


「えっ、しないの!?」

『何言ってるの千歩、しないよ。時友に普通に止められたよ。』

見たかったというようにシュンと項垂れる千歩。私は目立ちたくなんてないんだよ。

「えー、僕はバレないようにそっと参加するかと思ってたけどな〜?」

スっと目を細められる。嫌だな、探られても困るんだけれど。何にも出てきやしないよ。


『さぁね。するつもりはないけど。もしかしたら永富の気が付かない間に紛れ込んでいるかもね。』

「え〜?じゃあその時はお手柔らかにね。大丈夫、僕が傷にならないように上手く退場させてあげるから!」

『ほう?そう煽られると参加したくなるわね。まぁこのまま参加した時にバレたら十勝と時友がうるさそう。』

「それだけは間違いない。」

永富が嫌そうに首を縦に振る。曰く、うるさいんだそうだ。

「まぁやられる方の心配をしていたわけだけど、逆の考え方もあるわけじゃん?」