二戦目は華やかな空気の中で始まりを告げた。
しかし一歩間違えばこれが最後の勝負となるため気を引き締めなければならない。
とはいえ勝負は二人だけのもの。呑気にやって来ては浮かれた雰囲気の招待客を見つめ羨ましく思う。
ノネットが今日のために選んでくれたメレのドレスは深紅である。それは着る者を選ぶ色ではあるが、肌が白く雪のような髪を持つメレが纏えば魅力を引き立てた。花のように広がった裾には朝露のようにダイヤが散りばめられ、揺れる度にキラキラと輝きを放つ。
堂々たる姿で会場に乗り込んだメレの隣には長身の男が並んでいた。真っ黒なタキシードが細さを際立たせ、光を浴びれば消えてしまいそうな儚さだ。特に印象的なのは赤い瞳で妖しさを秘めている。しかしよくよく見れば瞳の奥は不安げに揺れていた。
またしても訪れる羽目になったイヴァン邸。件の人物は探すよりも早くメレの視界に入る。主催者である彼は何かを待つように立ち尽くしていた。
「ようこそおこし下さいました。歓迎します」
あくまで丁寧に、一人の客人として来訪を歓迎される。ならば社交辞令には社交辞令を――メレは営業スマイルで対応する。
「こんばんは、イヴァン伯爵様。本日はお招きありがとうございます。わたくしのような者が光栄極まりないことですわ」
相手の出方を窺えばオルフェの表情が変わる。人を馬鹿にしたような――少なくともメレにはそう映って見えた。
「本当に来るとは驚いた。いや、来てくれて嬉しいぜ! 今宵のお前はいっそう綺麗だな。さぞパーティーに華を添えてくれるだろう」
なるほど逃げずに来るとは考えていなかったということか。
オルフェはメレの手を取り見せつけるように甲へ口付けた。
しかし一歩間違えばこれが最後の勝負となるため気を引き締めなければならない。
とはいえ勝負は二人だけのもの。呑気にやって来ては浮かれた雰囲気の招待客を見つめ羨ましく思う。
ノネットが今日のために選んでくれたメレのドレスは深紅である。それは着る者を選ぶ色ではあるが、肌が白く雪のような髪を持つメレが纏えば魅力を引き立てた。花のように広がった裾には朝露のようにダイヤが散りばめられ、揺れる度にキラキラと輝きを放つ。
堂々たる姿で会場に乗り込んだメレの隣には長身の男が並んでいた。真っ黒なタキシードが細さを際立たせ、光を浴びれば消えてしまいそうな儚さだ。特に印象的なのは赤い瞳で妖しさを秘めている。しかしよくよく見れば瞳の奥は不安げに揺れていた。
またしても訪れる羽目になったイヴァン邸。件の人物は探すよりも早くメレの視界に入る。主催者である彼は何かを待つように立ち尽くしていた。
「ようこそおこし下さいました。歓迎します」
あくまで丁寧に、一人の客人として来訪を歓迎される。ならば社交辞令には社交辞令を――メレは営業スマイルで対応する。
「こんばんは、イヴァン伯爵様。本日はお招きありがとうございます。わたくしのような者が光栄極まりないことですわ」
相手の出方を窺えばオルフェの表情が変わる。人を馬鹿にしたような――少なくともメレにはそう映って見えた。
「本当に来るとは驚いた。いや、来てくれて嬉しいぜ! 今宵のお前はいっそう綺麗だな。さぞパーティーに華を添えてくれるだろう」
なるほど逃げずに来るとは考えていなかったということか。
オルフェはメレの手を取り見せつけるように甲へ口付けた。


