近いよ、黒羽根くん。
どうしてこんなことするの?
すぐ近くには、タスクもいるのに。
「俺にキスしろ」
(……キス?)
「屋上での口づけを――思い出せ」
微かな声で命令された瞬間
記憶が、よみがえる。
誰もいない屋上
2人きり
ピンク色のチョコレート
一欠片のそれを
…………2人で、食べた。
互いの舌の上でころがし
溶かしていった。
その立方体のチョコレートは
今、さっき
わたしのブラウスのポケットから出てきた
ベッドの上に置かれた
パープルの包み紙に、包まれたいた。
「思い出したようだな」
……あれは
わたしがみた夢は
…………現実、だったの?


