【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。



口元を覆っていた手が、外される。


「なにする……」


振り返ると、


黒羽根聖狼が、薄笑いしていた。


この人は

なんて愉快そうに笑うのだろう。


わたしがこんなにも、(はずか)しめられているのに。



言いたいことも、聞きたいことも、ある。


どうして口をふさいだの。

どうして制服の、ボタン――……


「柚月さん」


ボソッと囁く、王子。


……なに?


「いや――、刹那」


低い声で、名前を呼ばれると


ぐっと頭を抱えられ


黒羽根くんの綺麗な顔が、目の前まで迫ってきた。


あと……1cmも近づけば、

唇が触れ合うくらいまで。