口元を覆っていた手が、外される。
「なにする……」
振り返ると、
黒羽根聖狼が、薄笑いしていた。
この人は
なんて愉快そうに笑うのだろう。
わたしがこんなにも、辱しめられているのに。
言いたいことも、聞きたいことも、ある。
どうして口をふさいだの。
どうして制服の、ボタン――……
「柚月さん」
ボソッと囁く、王子。
……なに?
「いや――、刹那」
低い声で、名前を呼ばれると
ぐっと頭を抱えられ
黒羽根くんの綺麗な顔が、目の前まで迫ってきた。
あと……1cmも近づけば、
唇が触れ合うくらいまで。
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