――――この人だ。


「刹那ほど美味いヒトを僕は知らない」


さっきの男は、

紛れもなく黒羽根先輩なのだ。


悪寒がする。


震えが、止まらない。


「わたし……を。食べ、る……?」

「うん」


殺されてしまう……!!


「一度に食べきるのは勿体ないから。毎日、少しずつ味わわせてもらうよ」


――少しずつ?


「手、とか。カラダ。バラバラに。して?」

「えー……。なにそれ。そんなサイコな趣味ないよ?」


目の前で起きたことも

黒羽根くんが言っている言葉の意味も


なにも、わからない。


それでもわたしに理解できることが、1つだけあった。


「ちゃんと僕の言うこと聞けたら、傷一つ、君には残らない」


黒羽根くんは


黒羽根聖狼という男は




人間では、ない。