男の髪が

プラチナから、色素の薄い茶色に。


2本の角は消え

尖った耳も元通りになり


そして


なにより目立っていた大きな黒い翼もなくなってしまった。


いつもの王子――わたしの知っている黒羽根 聖狼が、わたしを抱きしめている。


「さて。ひと休みするか」


わたしをおろすと

王子は、眠そうに目をこすった。


その姿は高校生男子そのものだ。


声が、出ない。


なに?


さっきのは……なんだったの!?


幻覚?

それとも、悪夢?


困惑する私を頭の上から見下ろすと、王子はこう言った。


「思った通り。いや。それ以上だ」