「次、体育か」

「うん」

「そうか。頑張れよ」


刹那と別れ、歩きだしたとき。


『ボクが助けてあげようか』


――――?


『キミけっこう、いいやつだから。不幸になるのカワイソウだし。その対価は、しっかりもらうけどさ』


どこかから、そんな声が聞こえて

思わず振り返ったが


「……気のせいか」


そこには、

長い黒髪の少女の後ろ姿しかなかった。


助けなんて必要ない。


俺が今するべきことは、ひとつ。


「なんだ三浦。今から飯か」

「おう」

「もう授業始まんぞ」

「腹が減っては戦はできん」


刹那に余計な心配かけないこと、だな。



番外編②『壊』 完