わたしをベッドに押し倒すと
覆い被さってきたセロが
怒っているかなと思ったけど
「いいか。どうでもいい相手なら。もっと簡単に触れている」
真剣な目で、見つめられて。
「俺の方が欲しがっている。貴様が触れられたいと思う何倍も触れたい。吐きそうなくらいにはな」
「は、吐かないで……!」
「傷つけないように。そっと触れることが。どれだけ難しいか、貴様には理解できまい」
そういって、わたしに見せてきたのは
「こんな指で貴様に触れてみろ」
鋭くとがった、爪だった。
「傷だらけになる」
「……その、爪」
「ヒトの姿を維持できない」
悪魔に、なっちゃいそうなの?
人間の姿でいるのが苦しいの?


