【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。



わたしをベッドに押し倒すと

覆い被さってきたセロが


怒っているかなと思ったけど


「いいか。どうでもいい相手なら。もっと簡単に触れている」


真剣な目で、見つめられて。


「俺の方が欲しがっている。貴様が触れられたいと思う何倍も触れたい。吐きそうなくらいにはな」

「は、吐かないで……!」

「傷つけないように。そっと触れることが。どれだけ難しいか、貴様には理解できまい」


そういって、わたしに見せてきたのは


「こんな指で貴様に触れてみろ」


鋭くとがった、爪だった。


「傷だらけになる」

「……その、爪」

「ヒトの姿を維持できない」


悪魔に、なっちゃいそうなの?

人間の姿でいるのが苦しいの?