一瞬、

すごく苦しそうな表情を見せたセロが


「……貴様というやつは」


穏やかな笑みを浮かべる。


「殺しても死ぬなよ」

「その注文は難しすぎないかな……?」

「死ぬほど俺に溺れても。必ず戻ってこいと言っている」

「……がんばります」


今日も、あなたとキスをする。


あなたが生きるためにキスをする。


だけど……


「足りないな」


"好き"だから、する。


あなたが、はらぺこにならないように。


あなたに、もっと"好き"を感じてもらえるように。


「……わたしも。まだまだ、おなかすいてる」

「貴様はたらふくディナーを喰っただろうが」

「セロが、足りないんだもん」

「気絶しても知らないぞ」



今日も、明日も、キスをするのだ。




Fin.


ーその王子、はらぺこ悪魔につきー