【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。



女の子が、わたしにもたれかかってくる。


その身体は、夏なのに、とてもひんやりとしていた。


「こら!」


少女の元に、1人の女性がやって来る。

茶色く長い髪をひとつに束ねた女性だ。


「こんなとこにいたのね……! 離れちゃダメって、あれほど」


女の子のお母さん、かな。


「すみません。この子、なにかご迷惑を、おかけしませんでした……?」

「え?」

「あ、いえ。なんでもないです」

「あ、そういえば。お腹が……すいてるみたいです」


すると、女性は少女の手をパッととり


「ご飯は。おうちで食べるお約束でしょ?」


困ったように女の子に話したあと

一礼して、その場を立ち去った。