女の子が、わたしにもたれかかってくる。
その身体は、夏なのに、とてもひんやりとしていた。
「こら!」
少女の元に、1人の女性がやって来る。
茶色く長い髪をひとつに束ねた女性だ。
「こんなとこにいたのね……! 離れちゃダメって、あれほど」
女の子のお母さん、かな。
「すみません。この子、なにかご迷惑を、おかけしませんでした……?」
「え?」
「あ、いえ。なんでもないです」
「あ、そういえば。お腹が……すいてるみたいです」
すると、女性は少女の手をパッととり
「ご飯は。おうちで食べるお約束でしょ?」
困ったように女の子に話したあと
一礼して、その場を立ち去った。


