お化け屋敷を出ると、雛は、美少女になっていた。
「ボクさあ。あんまり長時間は日に当たれないから遠足とか無縁なんだよね」
そうだったんだ……!
「セロよりも紫外線に耐性なかったりする。日焼け止め効果のある薬を塗ったりすることもできるけど、面倒だし。日傘はこんな場所では似合わないし」
だからこうして日の沈んだ頃に遊びに来たの?
「来る気なかったんだけど。刹那とセロいるなら覗きに来てもおもしろいかなって」
「少しは楽しめた?」
「そうだね」
そのあと乗ったのは、暗闇をかけぬけるローラーコースター。
といっても怖さはほとんどない、爽快感のある乗り物だった。
「見てあれ」
出口手前で、アトラクションに乗っているときの写真が販売されていた。
雛が横からわたしにキスしようとしていて
わたしは目をつぶって安全バーにしがみついていて
セロが雛を睨み付けている……。
「ウケる」
あはは、と笑う雛。
よかった。
学校行事を休みがちだった雛が、こうしてクラスメイトと楽しんでいる。
解散後にはなってしまったけれど、雛にとっていい思い出になったはず。


