【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。



お化け屋敷を出ると、雛は、美少女になっていた。


「ボクさあ。あんまり長時間は日に当たれないから遠足とか無縁なんだよね」


そうだったんだ……!


「セロよりも紫外線に耐性なかったりする。日焼け止め効果のある薬を塗ったりすることもできるけど、面倒だし。日傘はこんな場所では似合わないし」


だからこうして日の沈んだ頃に遊びに来たの?


「来る気なかったんだけど。刹那とセロいるなら覗きに来てもおもしろいかなって」

「少しは楽しめた?」

「そうだね」


そのあと乗ったのは、暗闇をかけぬけるローラーコースター。

といっても怖さはほとんどない、爽快感のある乗り物だった。


「見てあれ」


出口手前で、アトラクションに乗っているときの写真が販売されていた。


雛が横からわたしにキスしようとしていて

わたしは目をつぶって安全バーにしがみついていて

セロが雛を睨み付けている……。


「ウケる」

あはは、と笑う雛。


よかった。

学校行事を休みがちだった雛が、こうしてクラスメイトと楽しんでいる。


解散後にはなってしまったけれど、雛にとっていい思い出になったはず。