――――甘い
そして、とても、柔らかい。
チョコはすぐに溶けだした。
これまで食べたことのない味と食感。
味は、ストロベリーやラズベリーに似ている気がするけれど、なにか違う。
食感は、生チョコに近いような気がする。
「そんなに顔を真っ赤にさせて」
「……っ」
頬に、手をあてられる。
ひんやりした黒羽根くんのてのひらは
まるで溶けない氷みたいで
わたしの火照ったカラダを、冷やしていく。
「心臓がこんなにも――」
「やっ……」
「激しく鼓動しているのに」
頬からはなれた黒羽根くんの大きな手が
わたしの左胸に、あてられる。


