【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。



「いいや」


――――え?


「貴様にそれを求める気はない」

「……そっか」


わたしに、求めない?

だったら誰に求めるの?


「お熱いこと」


(その声は――……)


校門をくぐる手前で聞こえてきたのは、雛の声。


「おはよう。刹那」


すっかり綺麗な女の子にしか見えないが、騙されてはいけない。


雛は、男だ。


男なのだ。
(大事なことだから2回言っておく)


「不愉快だ。視界から消えろ」

「セロ、王子キャラ卒業したの? ここ学校だよ。みーんな見てるのに」

「そんなことより貴様はオスに戻ったらどうだ」

「ふふ。ボクは、いつだってオスだよ? さ、刹那。教室行こ」


手を繋ごうとしてきた雛が


「おっと。今、刹那に触れるのは危ないかも」


手を引っ込めた。