「もっとも。刹那との口づけの方が。クセになるがな?」
「……っ」
「一晩中していたいくらいだ」
いきなり、なにを言い出すんだ。
「そんなことしたら眠れないよ」
「寝かせないと言っている」
「食べるだけ食べたら部屋に戻ってくクセに!」
「拗ねているのか?」
「ちがっ……」
「今夜は朝まで同じ布団で過ごすか?」
ドクン
「そんなの。お母さんに見つかったら……」
「見つからなければ問題ないと」
セロは、待っているのかな。
わたしを"まるごと"食べる日を。
頭のてっぺんから足の指先まで味わうのを。
そうすればスパイスがきいて味がよくなるんだよね。
そんな覚悟できそうに、ない。
キスだけでもドキドキして大変なんだ。
「セロ……は。キス以外の、こと。したい?」
隠し味的な、もの。
はやくわたしに加えたい?


