「好きと言うよりは。これくらいしか喰うものがない」
「そうなの?」
「喰う必要性もないが」
「栄養にならないけど。それでも。食べるんだね」
「敢えて言うなら。口が寂しいからかもな」
口が……"サミシイ"?
「固形物を口に含む習慣がない。だがこうやってコロコロと飴やチョコを舌の上で転がすのは、斬新だ。嫌いではない」
「へぇ……」
甘みというよりは、食感を、楽しんでいるのかな。
チョコが溶けてく感覚とか。
飴がだんだん小さくなっていくのとか。
毎日なにかを食べているわたしにとって当たり前のことも、セロにとっては当たり前ではない。


