【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。



「好きと言うよりは。これくらいしか喰うものがない」

「そうなの?」

「喰う必要性もないが」

「栄養にならないけど。それでも。食べるんだね」

「敢えて言うなら。口が寂しいからかもな」


口が……"サミシイ"?


「固形物を口に含む習慣がない。だがこうやってコロコロと飴やチョコを舌の上で転がすのは、斬新だ。嫌いではない」

「へぇ……」


甘みというよりは、食感を、楽しんでいるのかな。

チョコが溶けてく感覚とか。

飴がだんだん小さくなっていくのとか。


毎日なにかを食べているわたしにとって当たり前のことも、セロにとっては当たり前ではない。