【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。



生き延びるためのキスじゃないキスを受け入れてしまったのも。


セロと女の子のことでモヤモヤしたのも。


"心が傾いているから"


ううん


"とっくに心を奪われていた"


ってこと


…………認めざるを得ないよ。


「たしかにな」


セロが、フッと柔らかい笑みを浮かべたのがわかった。

その微笑みをもっと明るいところでみられなかったのが惜しい。


「わたし……わたしね」

「ああ」

「タスクのことが好きだった」

「そうだな」

「気持ちを伝えて、それでも、諦めきれないって思った」

「俺にもそのように見えた」

「でも。違った」


"すきなひと"のことは、今でも好き。

でもね。


「タスクとキスしたい、とは。もう考えられない」

「そうか」

「セロが……好き。……怖いくらい」

「怖い?」


怖いよ。


こんなにもはやく心変わりしたことも。

人間じゃないなにかを、愛することも。