驚くのも無理はない。 まさに一瞬の出来事だった。 先輩たちに取り押さえられていたわたしが、セロの腕の中におさめられるまで。 それはとても人間に追えるスピードではなかった。 セロが、床に散らばった髪を見つめたあと、視線をわたしに向けてくる。 「みないで……」 きっと、セロからしたら わたしの髪型の変化なんて些細なことで 味が落ちなければたいして問題ない。 そうわかっていても こんな姿は見られたくないよ。 セロの内側から黒いものを感じる。 いつもの腹黒さとはちがう、なにかを。