「刹那ー!」


お母さんが、わたしを呼んでいる。


少しずつ足音がこっちに近づいきて、部屋のドアがガチャっと開けられた。


「起きてるの? 刹那」

「いま、おきた……」

「珍しいわね。ギリギリまで寝ているだなんて」


――ギリギリ?


部屋の掛け時計を見る。


「ふえ!?」

ヘンな声が漏れたのは、いつも起きる時刻より15分遅れていたから。


(せわ)しい朝に15分のロスとなれば、かなり深刻な問題だ。


思わず飛び起き、立ちあがる。


「……っ」

「あら、大丈夫? 貧血?」


立ちくらみをするわたしを、お母さんが支えてくれる。


「あなた昨日、ちゃんと夜ご飯食べた?」