【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。

黒羽根くんの手が、

わたしの首元にあてられたと思ったら


次の瞬間には、つかみあげられて


足が、地面から浮いた。


そのまま壁に押し付けられる。


「俺の正体を知っているな?」


――――苦しい


「だったら都合がいい。今すぐ喰わせろ」


くわせろ……?


「い……やっ……」

「喉を潰してやろうか?」

「タス……ク……」

「またあの男か」


助けて、タスク


「どうして貴様は。俺でなく。あんな人間のことばかり――……」


わたしを見つめる黒羽根くんが


怒りに満ちていると同時に


…………泣いているように見えた。