【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。

なんで、だろう……?


「お気に入りなんだ。この場所」


風が、心地いい。


「いいところですね」

「ナイショにしててくれる?」

「……言えませんよ。立入禁止の場所に。鍵、勝手に開けて入ったなんて」


わたしの言葉に、王子から笑顔が消える。


「どうかしました?」

「かかってなかったよ」

「え?」

「鍵」


そうだっけ。


「扉は開いていた。だから、入ることができた」

「……そう、でしたね」

「実は、あの飴はもうなくて。ただ君と2人になる口実が――」

「大丈夫です。チョコも、好きです!」


…………あれ?


わたし


どうしてチョコが好き、なんて

聞かれてもいないのに答えたのかな。


「貴様」


――――低い声


「どこから来た」

「え?」

「このセカイの者ではないな」

「この、世界……って?」

「とぼけるな」

「……っ」